概要
一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門
2013年1月18日第1刷発行
投資信託はいろいろな商品に分散投資できるのが魅力の一つ。
「分散投資」と「長期」を組み合わせることで、リスクを抑えて運用できる
投資信託の中身
株・国債・社債・不動産・コモディティ(商品)などの組み合わせ
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「どこの」「何に」投資する商品なのか、投信の取り扱い説明書である「目論見書」で確認する
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「どこの」: 国内・海外・内外(国内と海外の両方) … この3つ
「何に」 : 株式・債券・不動産・その他(コモディティなど)・資産複合 … この5つ
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今売られている投資信託は4000本以上
「どこの」「何に」投資するのかの組み合わせで中身が決まる
投資信託のメリット
少ないお金で株や債券に分散投資できること
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投信はふつう1万円から購入することができる
積み立てのしくみを利用すると、月々500円あるいは1000円から購入できる金融機関もある
+
分散投資しているので、1つの会社に投資するのに比べて、価格の変動が抑えられる
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ただし
手数料の高いものも多いので、しっかりとみていく必要がある
+
元本保証ではないので元本割れもありえる
3つの会社
つくる : 運用会社
売る : 販売会社
管理する : 信託銀行
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販売会社や運用会社などが破たんしても資産はまもられる
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主役は、投資信託を作って運用している運用会社
・○○アセットマネジメント、××投信 などの名前がついている
投資信託の儲け
投信の儲けと損
1.売却益・損 =キャピタルゲインorキャピタルロス
2.分配金 = インカムゲイン
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投信の価格は「基準価額」 … 「1万口当たり○円」の表示が多い
分配金は、投信の決算が行われるときに投資家に支払う仕組み (分配金を支払わない投信もある)
※ 分配金と銀行預金の利息とは全く異なる 分配金をもらった分、投資したお金が増えているというわけではない
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投資したお金が増えているかどうか
基準価額が上がっている+分配金=トータルリターン
基準価額は1日1回だけ変わる
純資産総額÷受益権総口数=基準価額
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純資産総額の増減要因は2つ
1.マーケットの変動 = 投信の中に入っている会社の株価が上がれば、総資産額が増え、下がれば総資産額が減る
2.投資家の資金の流出入
儲かっているかどうか
「騰落率」と「トータルリターン」で見る
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騰落率 : 一定期間中にどのくらい変動したかを割合で示したもの
例 1万円の基準価額が1万1千円になった場合、騰落率はプラス10%
投信の成績を見るときは、1か月、3か月という短い期間だけでなく、3年、5年、10年という長い期間を見ること
投信のリスク
1.価格変動リスク
2.金利変動リスク ・・・ 債権の場合 金利が上がると債券価格が下がり、金利が下がると債券価格は上がる
3.為替変動リスク ・・・ 外貨高円安だと、基準価額を押し上げる要因、円高だと基準価額が下がる要因
4.信用リスク ・・・ 国の財政や会社の経営などの悪化によるもの
5.カントリーリスク
6.流動性リスク ・・・ 市場での取引量が少ない場合、取引ができない可能性
7.派生商品リスク(デリバティブリスク)
分配金
・分配金は必ずしも収益から支払われるとは限らない
・分配金の一部、または全部が投資した資金(元本)から払い戻される場合がある ・・・ 蛸配当
・分配金は運用資産(純資産総額)から払い出されるので、分配金を支払えば運用資産はその分減り、基準価額もその分下がる
そのため
資産形成をする場合、分配金を出す投信を購入する必要はない
つまり
分配金を頻繁に引き出すと、運用益を再投資することによる複利効果が薄くなる
決算頻度が少なく(年1回、もしくは2回)で極力分配金を出さないものを選ぶべき
↓↑
毎月分配型
主な手数料は3つ
どのくらい儲かるかは不確実だが、手数料は確実にマイナスのリターンになる
1.購入時手数料
2.運用管理費用(信託報酬)
3.信託財産留保額
・購入時手数料は販売会社(証券会社や銀行)に支払うもの
手数料ゼロ(ノーロード)のファンドもある 0%~5.25%
・運用管理費用は投信を持っている間、毎日純資産総額から自動的に引かれていく
運用会社、販売会社、信託銀行に分配される 年率0.4%~2.5%
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運用管理費用はわずかな差でも、運用への影響は大!
例: 100万円を投資して、リターンがゼロの場合
ファンドA 年0.3885% → 10年でやく96万円になる
ファンドB 年1.575% → 10年で約85万円になる
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10万円以上の差が開く
つまり
同じくらいの成績しか上げられない場合、コストの低いほうが有利
運用管理費用は商品によって異なる
なかには
販売会社の取り分が運用会社より多い、とか、残高が増えると販売会社の取り分が増えて運用会社の取り分が減る、というものもある
↓
販売会社にしていれば、自分の懐に入ってくる額が大きい商品を売りたがる
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資産残高が増えると運用管理費用を下げて投資家に還元する
長期でもつと運用管理費用を下げる
=投資家思い
たとえば:「SMTインデックスシリーズ」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
同じ商品でも、購入する場所によって手数料が違う
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購入時手数料はできるだけ安いところで買え!
運用スタイルは2種類
パッシブ(消極的):市場全体の動きを反省するように運用する手法 インデックスファンド
アクティブ(積極的):市場平均や指数を上回ることを目指す手法
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アクティブは投資する会社を選ぶのに手間がかかる
=手数料はインデックスに比べて高くなる
インデックスファンドは「安い手数料」で「分散効果が高く」「わかりやすい」
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たとえば
日本株の代表的な指数:TOPIX
外国の株価指数:MSCIコクサイ・インデックス(除く日本、円ベース) MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)
MSCIコクサイ・インデックス(除く日本、円ベース)
=日本を除いた先進国23か国の1200社以上の株を対象
MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)
=新興国21か国の700社以上の株を対象
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この二つに連動するインデックスファンドを保有すると、45か国の会社の株にまとめて投資ができることになる
運用スタイル
アクティブ運用株式投信の運用スタイル
成長か、割安に注目する方法、会社の規模によって会社を選ぶ
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成長か、割安
グロース(成長)
バリュー(割安)
会社の規模
大型株
中小型株
一般
投信に投資する投信は2種類
ファミリーファンド方式
ファンド・オブ・ファンズ
目論見書
「商品分類」と「属性区分」の表を見ると、投信の内容がわかる
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確認は
運用会社や投信を販売している会社のホームページ
投資信託協会のホームページにある投信総合検索ライブラリー など
3つの戦略
「長期」:10年以上は投資すること
「分散」:予想は当たらないことを前提に、地域や資産をきちんと分散すること
「低コスト」:得られるリターンは不確定だが、コストは確定しているので、しっかりと認識すること
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そのうえで
国内外の株と債券の4つの資産に分散投資する
・日本株式
・日本債券
・外国株式(先進国と新興国)
・外国債券
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「コア・サテライト戦略」
安定的な運用を目指す土台となる部分(コア)と、少しリスクを取ってプラスアルファのリターンを目指したり、さらに分散効果を高めたりする部分(サテライト)
サテライトは1~2割程度、多くても3割程度にとどめたい
おすすめインデックスファンド
ものさし
1.手数料が安いか
2.純資産総額がふえているか
3.目標とする指数とぴったりの動きをしているか
アクティブファンドの選び方
日本で売られている4000本の投信のうち9割がアクティブファンド
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目標とする指数(ベンチマーク)に勝てるアクティブファンドは少数派
・インデックスファンドと同じような動きをしていないか つまり、かぶっていないか
・投資方針がしっかりして、納得できるか
・過去の運用実績があるか 新規ではない
・サテライトに組み入れてもいいと思えるか
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売れている投信がいい投信とは限らない
また
資産形成が目的の場合、分配金を出す投信よりも、分配金を出さずに再投資してくれる商品のほうがよい
インフォメーションレシオ
数値が高いほど、アクティブ運用の成果が上がった=0.5以上なら優秀
投信まとなび http://www.matonavi.jp/
モーニングスター http://www.morningstar.co.jp/
投信資料館 http://www.toushin.com/
QUICK Money Life(→Fanet Money Lifeへ) http://money.fanet.biz/
買い方
買い方は2通り
スポット買い
積み立て ・・・ 価格の変動に振り回されずに投資を続けられる
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資産形成に必要以上の時間をかけない仕組みを作ってしまう
=積み立てがおすすめ
購入後は定期的なリバランスが必要
1.当初の比率より増えている商品を解約して、比率の低くなっている商品を購入して、もとのバランスに戻す
2.資産総額が少ないうちは、買いで資産の比率を調整する
目次
はじめに
第1章 そもそも投資信託って何!?
投資信託は株や債券がたくさん入った「詰め合わせ」
投資信託を買うのは、自分にも企業にも”いいこと”
投資信託は中身によって、性格が変わる!
投信託の中身は「どこ」の「何に」投資するかで決まる
まとまったお金がなくても、運用をプロにお任せできる!
「つくる」「売る」「管理する」という3つの会社がかかわっている
投資先や運用会社などが破たんしても資産が守られる!
●販売会社が破たんした場合
●運用会社が破たんした場合
●信託銀行が破たんした場合
主役は「投信をつくって運用している会社」=「運用会社」
コラム ところで、株式と債券って何?
第2章 投資信託の儲けと損はどう決まる?
投資信託の儲けは「売却益」と「分配金」で決まる
投資信託の値段は1日1回だけ変わる
「純資産総額」と「口数」の見方
儲かっているかは「騰落率」と「トータルリターン」でみる!
投資信託の価格が上がったり下がったりする原因は?
「分配金」は「預金の利息」とは違う
「決算」をすると分配金を出す。毎月分配型は「毎月」決算がある投信
投資信託の主な手数料は3つ
運用管理費用(信託報酬)はわずかな差でも運用への影響大!
運用管理費用(信託報酬)以外の手数料もチェック!
購入時手数料はできるだけ安いところで買え!
信託財産留保額というのは解約するときにかかる迷惑料
コラム リスクとリターンはセットでついてくる!
第3章 投資信託はどのように運用されている?
運用スタイルは「消極的」と「積極的」の2つがある!
「ベンチマーク」の意味はインデックスとアクティブで違う
インデックスファンドは「安い手数料」で「分散投資」「わかりやすい」
3つの指数で日本+世界44カ国をカバー
【アクティブ運用】株式投信の運用スタイルは?
●グロース(成長)
●バリュー(割安)
●大型株
●中小型株
●一般
「トップダウン」と「ボトムアップ」アプローチの違い
【アクティブ運用】債券投信の運用スタイルは?
同じ系列の投信に投資、効率的に運用する「ファミリーファンド方式」
少額でも究極の分散ができる「ファンド・オブ・ファンズ」
「目論見書」で投信のアウトラインを確認しよう!
コラム 【投信の名前の法則】〜名前で、投信の中身がわかる!
第4章 投資信託でお金をふやすための「3つの戦略」
お金をふやすなら、「3つの戦略」が欠かせない!
お弁当と同じで、組み合わせて考えることが大事!
国内外の株と債券、4つの資産に分散投資をする
「分散」に「長期」を組み合わせるとさらに負けにくくなる!
資産形成の土台づくりはインデックスファンドで
おすすめのインデックスファンドはコレ
インデックスファンドを組み合わせた”セット商品”も選択肢に
コラム 税制優遇制度を積極的に活用しよう!
第5章 損しないための正しいアクティブ投信の選び方
日本で売られている4000本の投信のうち9割がアクティブファンド
目標とする指数(ベンチマーク)に勝てるアクティブファンドは少数派
売れている投信がいい投信とは限らない!
日本で人気なのは、なぜか資産づくりに向かない毎月分配型投信ばかり
投信のチェックができる「3つの資料」
アクティブファンド選びはP-CCAPの法則を使おう!
インフォメーションレシオの数値をチェック!
豊富なデータがいっぱいの「投信の情報・評価サイト」を使いこなす
お金を大きく育てるには、こんな投信を選ぼう!
●新規設定ではなく「ご長寿投信」に注目!
●流行りモノではなく「スタンダードナンバー」を
コラム 運用担当者の顔がもっと見えるといい!
第6章 投資信託はこうして買いなさい
投資信託の買い方は2通り〜スポット買いと積み立て
ビジネスパーソンにはコツコツ「積み立て」がおすすめ
【買い方―実践編】投信はどこで買える?
現役世代はネットでの購入がおすすめ!
口座開設は時間がかかるが、一度つくれば後は楽ちん!
投信を買うときの口座って「源泉徴収」あり、なしはどう決める?
投信購入後は、定期的なメンテナンスが大事!
投信はいつ解約したらいいの?
コラム リタイアを機に運用方法は変わる!
おわりに
索引