持続可能な開発のための2030アジェンダ
持続可能な開発目標(SDGs)は、2012年、リオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)で議論が始まりました。
目的は、世界が直面する喫緊の環境、政治、経済の課題に取り組む一連の普遍的目標を策定することにあります。
2015 年 9 月 25 日第 70 回国連総会で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダに記載された2030年までに国際目標がSDGsです。
前文
このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。
すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。
今日我々が発表する 17 の持続可能な開発のための目標(SDGs)と、169 のターゲットは、この新しく普遍的なアジェンダの規模と野心を示している。これらの目標とターゲットは、ミレニアム開発目標(MDGs)を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである。これらは、すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化を達成することを目指す。これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。
これらの目標及びターゲットは、人類及び地球にとり極めて重要な分野で、向こう 15 年間にわたり、行動を促進するものになろう。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf
SDGsを理解するための本
SDGsはMDGsの後継目標
SDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)の後継となる目標です。
MDGsは、極度の貧困と飢餓への対策、致命的な病気予防、すべての子どもへの初等教育普及を始めとする開発優先課題に関し、普遍的な合意に基づく測定可能な目標を定めました。
所得貧困の削減、肝心な水と衛生へのアクセス提供、幼児死亡率の引き下げ、妊産婦の健康の大幅な改善など、いくつかの重要な分野で15年間にわたり、MDGsは前進の原動力となりました。
また、無償の初等教育を求めるグローバルな運動も活発化させることで、各国に将来の世代への投資を働きかけました。最も重要なのは、MDGsがHIV/エイズのほか、マラリアや結核など、治療可能な病気への対策を大幅に前進させたことです。
MDGsの主な成果
- 10億人以上が極度の貧困を脱しました(1990年以来)。
- 子どもの死亡率は半分以下に減少しました(1990年以来)。
- 学校に通えない子どもの数は半分以下に減少しました(1990年以来)。
- HIV/エイズ感染件数は40%近く減少しました(2000年以来)。
MDGsで一定の成果は上げられましたが、一部の地域で取り残された人々がいる事も分かってきました。MDGsの遺産と成果は、私たちが新たな目標に関する活動を開始するうえで、貴重な教訓と経験を提供しています。
しかし、全世界の数百万人にとって、まだ仕事は終わっていません。私たちは飢餓に終止符を打ち、完全なジェンダーの平等を達成し、医療を改善し、すべての子どもを中等教育へと進学させるため、最後の仕上げをする必要があります。SDGsはまた、世界をより持続可能な道へ導くための緊急の呼びかけでもあります。
SDGsでは誰一人取り残さない
SDGs は17のゴールとより具体的な169のターゲットから構成され、到達度合いを測る232の指標が設けられました。
17の目標はすべて、1つの目標の達成が他の目標の達成へと影響するという点で、相互接続性を備えています。気候変動の脅威への取り組みは、私たちの脆弱な天然資源をいかに管理するかに影響し、ジェンダーの平等の達成や健康の増進は、貧困根絶に寄与し、平和と包摂的な社会の醸成は、不平等を削減し、経済の繁栄を助けるからです。
私たちが将来の世代のために暮らしを改善する最大のチャンスが訪れているのです。
SDGsでは地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサルなものとして、全人類にとってより持続可能かつ安全で、より豊かな地球を作り上げるという、現在を生きる全ての人の目標でもあります。
(誰一人取り残さない)
この偉大な共同の旅に乗り出すにあたり、我々は誰も取り残されないことを誓う。人々の尊厳は基本的なものであるとの認識の下に、目標とターゲットがすべての国、すべての人々及び社会のすべての部分で満たされることを望む。そして我々は、最も遅れているところに第一に手を伸ばすべく努力する。
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(これまでの経緯)
最も貧しく最も脆弱なところからの声に特別な注意を払いながら市民社会及びその他のステークホルダーとの間で行われた 2 年以上にわたる公開のコンサルテーション及び関与の結果、この目標とターゲットができた。このコンサルテーションは、持続可能な開発に関する公開作業部会及び国連による重要な作業を含むものであり、事務総長は 2014 年 12 月に統合報告書を提出している。
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目指すビジョン
(目指すべき世界像)
これらの目標とターゲットにおいて、我々は最高に野心的かつ変革的なビジョンを設定している。我々は、すべての人生が栄える、貧困、飢餓、病気及び欠乏から自由な世界を思い描く。我々は、恐怖と暴力から自由な世界を思い描く。すべての人が読み書きできる世界。すべてのレベルにおいて質の高い教育、保健医療及び社会保護に公平かつ普遍的にアクセスできる世界。身体的、精神的、社会的福祉が保障される世界。安全な飲料水と衛生に関する人権を再確認し、衛生状態が改善している世界。十分で、安全で、購入可能、また、栄養のある食料がある世界。住居が安全、強靱(レジリエント)かつ持続可能である世界。そして安価な、信頼でき、持続可能なエネルギーに誰もがアク セスできる世界。
我々は、人権、人の尊厳、法の支配、正義、平等及び差別のないことに対して普遍的な尊重がなされる世界を思い描く。人種、民族及び文化的多様性に対して尊重がなされる世界。人間の潜在力を完全に実現し、繁栄を共有することに資することができる平等な機会が与えられる世界。子供たちに投資し、すべての子供が暴力及び搾取から解放される世界。すべての女性と女児が完全なジェンダー平等を享受し、その能力強化を阻む法的、社会的、経済的な障害が取り除かれる世界。そして、最も脆弱な人々のニーズが満たされる、公正で、衡平で、寛容で、開かれており、社会的に包摂的な世界。
我々は、すべての国が持続的で、包摂的で、持続可能な経済成長と 働きがいのある人間らしい仕事を享受できる世界を思い描く。消費と生産パターン、そして空気、土地、河川、湖、帯水層、海洋といったすべての天然資源の利用が持続可能である世界。民主主義、グッド・ガバナンス、法の支配、そしてまたそれらを可能にする国内・国際環境が、持続的で包摂的な経済成長、社会開発、環境保護及び貧困・飢餓撲滅を含めた、持続可能な開発にとってきわめて重要である世界。技術開発とその応用が気候変動に配慮しており、生物多様性を尊重し、強靱(レジリエント)なものである世界。人類が自然と調和し、野生動植物その他の種が保護される世界。
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今日の世界の課題
(直面する課題)
我々は、持続可能な開発に対する大きな課題に直面している。依然として数十億人の人々が貧困のうちに生活し、尊厳のある生活を送れずにいる。国内的、国際的な不平等は増加している。機会、富及び権力の不均衡は甚だしい。ジェンダー平等は依然として鍵となる課題である。失業、とりわけ若年層の失業は主たる懸念である。地球規模の健康の脅威、より頻繁かつ甚大な自然災害、悪化する紛争、暴力的過激主義、テロリズムと関連する人道危機及び人々の強制的な移動は、過去数十年の開発の進展の多くを後戻りさせる恐れがある。天然資源の減少並びに、砂漠化、干ばつ、土壌悪化、淡水の欠乏及び生物多様性の喪失を含む環境の悪化による影響は、人類が直面する課題を増加し、悪化させる。我々の時代において、気候変動は最大の課題の一つであり、すべての国の持続可能な開発を達成するための能力に悪影響を及ぼす。世界的な気温の上昇、海面上昇、海洋の酸性化及びその他の気候変動の結果は、多くの後発開発途上国、小島嶼開発途上国を含む沿岸地帯及び低地帯の国々に深刻な影響を与えている。多くの国の存続と地球の生物維持システムが存続の危機に瀕している。
(チャンス)
しかしながら、大きな機会の時でもある。多くの開発の課題に対応するために重要な進展があった。過去の世代において、数百万人の人が極度の貧困から脱した。
教育へのアクセスは少年少女いずれに対しても大きく増加した。ICT と地球規模の接続性は人間の進歩を加速化させ、デジタルデバイドを埋め、知識社会を発展させる大きな潜在力があり、医学やエネルギーのように多様な幅広い分野において科学技術イノベーションが持つ潜在力もまた同様である。
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(MDGs で残された課題への対応)
およそ 15 年前、ミレニアム開発目標(MDGs)が合意された。これらは、開発のための重要な枠組みを与え、多くの分野で重要な進展が見られた。しかしながら、進展にはばらつきがあり、それはアフリカ、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国で特にそうである。いくつかの目標、特に母子保健及び性と生殖に関する健康の目標は依然として達成に向けての軌道に乗っていない。我々は、このような外れた目標を含めて、すべての MDGsの完全な達成に向けて、とりわけ後発開発途上国など重視すべき国に対して焦点をあてて拡大した支援を、適切な支援プログラムに沿って供与することを再度約束する。新アジェンダはミレニアム開発目標を基礎として、ミレニアム開発目標が達成できなかったもの、とりわけ最も脆弱な部分に取り組むことにより、これを完遂することを目指す。
(MDGs を超える課題への対応)
我々が今日発表する枠組みは、そのスコープにおいてミレニアム開発目標を遙かに越えるものである。貧困撲滅、保健、教育及び食料安全保障と栄養といった継続的な開発分野の優先項目に加えて、この枠組みは、幅広い経済・社会・環境の目的を提示している。また、より平和かつ包摂的な社会も約束している。さらに重要なことは、実施手段も提示している。我々が決定した統合的なアプローチを反映して、新たな目標とターゲットには、深い相互関連性とクロスカッティングな要素がある。
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新アジェンダ
(総論)
本日、我々が発表する 17 の持続可能な開発目標と 169 の関連づけられたターゲットは、統合され不可分のものである。このような広範でユニバーサルな政策目標について、世界の指導者が共通の行動と努力を表明したことは未だかつてなかった。持続可能な開発に向けた道を進むにあたって、すべての国や地域に進展をもたらすウィン・ウィンの協力と地球規模の開発のために我々が一つとなって身を費やすことを決めた。すべての国はその固有の財産、自然資源及び経済活動に対して恒久の主権を有しており、またその権利を自由に行使することを確認する。我々は現在及び将来の世代の益のためのこのアジェンダを実施する。そのために、我々は国際法に対するコミットメントを確認するとともに、新たな開発目標は、国際法の下での権利と義務に整合する形で実施することを確認する。
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17の目標
SDGsは2016年1月から2030年までの決定をガイドするとされています。
各国の各々の現実、能力、開発段階、政策、優先課題を考慮に入れながら、国、地域、グローバル・レベルで新目標を実施することになるのです。
目標01 貧困をなくそう
2030年までに極度の貧困を撲滅することを含む、すべての形態の貧困の終結にコミットする。すべての人々は社会保護制度を通じてすべての人が基礎的な生活水準を享受するべきである。
目標02 飢餓をゼロに
優先事項として飢餓を撲滅し、食料安全保障を実現するとともに、あらゆる形態の栄養不良を解消することを決意する。この観点から、我々は世界食料安全保障委員会の重要な役割と包摂的な性格を再確認するとともに「栄養に関するローマ宣言」及び「行動枠組」を歓迎する。
開発途上国、特に後発開発途上国における小自作農や女性の農民、遊牧民、漁業民への支援を通じて農村開発及び持続可能な農業・漁業発展のために資源を注ぎ込む。
目標03 すべての人に健康と福祉を
身体的及び精神的な健康と福祉の増進並びにすべての人々の寿命の延長のために、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と質の高い保健医療へのアクセスを達成しなければならない。
誰一人として取り残されてはならない。
2030年までにこのような防ぐことのできる死をなくすことによって、新生児、子供、妊産婦の死亡を削減するために今日までに実現した進歩を加速することを約束する。
家族計画、情報、教育を含む、性と生殖に関するサービスへの普遍的なアクセスを確保することに全力で取り組む。
開発途上国においてはびこる薬剤耐性や対応されていない病気に関する問題への取組を含め、マラリア、HIV/エイズ、結核、肝炎、エボラ出血熱及びその他の感染病や伝染病に対して示された進歩の速度を等しく加速する。
持続可能な開発に対する大きな挑戦の一つとなっている行動・発達・神経学的障害を含む非感染性疾患の予防や治療に取り組む。
目標04 質の高い教育をみんなに
就学前から初等、中等、高等、技術、職業訓練等のすべてのレベルにおける包摂的で公正な質の高い教育を提供することにコミットする。
性、年齢、人種、民族、に関係なくすべての人々が、また障害者、移民、先住民、子供、青年、脆弱な状況下にある人々が社会への十全な参加の機会を確保するために必要とされる技能や知識を獲得するめの生涯学習の機会を有するべきである。
安全な学校及び結束力のある地域社会や家族等を通じ、国が人口ボーナスを享受できるようにすることにより、子供や若者に彼らの権利と能力を完全に実現するための育成環境を提供するよう努める。
目標05 ジェンダーの平等を実現しよう
ジェンダー平等の実現と女性・女児の能力強化は、SDGsの目標とターゲット達成において死活的に重要である。
SDGsは人類の半数に上る女性の権利と機会が否定されている間は達成することができない。女性と女児は、質の高い教育、経済的資源への公平な参加機会が与えられねばならない。
あらゆるレベルでの政治参加、雇用、リーダーシップ、意思決定において男性と同等の機会が受けられるべきである。
ジェンダー・ギャップを縮めるための投資努力とともに、国、地域及びグローバルの各レベルにおいてジェンダー平等と女性の能力強化を推進する組織への支援を強化する。
女性と女児に対するあらゆる形態の暴力は廃絶していく。
SDGsの推進において、ジェンダーの視点をシステマティックに主流化していくことは不可欠である。
目標06 安全な水とトイレを世界中に
目標07 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
目標08 働きがいも経済成長も
すべての国のために強固な経済基盤を構築するよう努める。包摂的で持続可能な経済成長の継続は、繁栄のために不可欠である。これは、富の共有や不平等な収入への対処を通じて可能となる。
すべての人々のための働きがいのある人間らしい仕事をはじめとして若者の雇用促進、女性の経済的能力強化の促進を通じダイナミックかつ持続可能な革新、人間中心の経済構築を目指す。
目標09 産業と技術革新の基盤をつくろう
強制労働や人身取引及びすべての形態の児童労働を根絶する。すべての国々は、生産性と職務を達成するために必要とされる知識や技能、社会に参入できる能力を備えた、健全で優れた教育を受けた労働人口を有する立場にある。
後発開発途上国のあらゆるセクターにおける生産性向上のために構造改革を含む取組を行う。
生産能力・生産性・生産雇用の増大、金融包摂、持続可能な農業・畜産・漁業開発、持続可能な工業開発、手頃で信頼できる持続可能な近代的エネルギー供給へのユニバーサルなアクセス、持続可能な輸送システム、質の高い強靱(レジリエント)なインフラにおいて、生産能力、生産性、生産雇用を増大させる政策を採用する。
現在の状況を考えるうえで、参考になるのが、クラウス・シュワブの「第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来」である。
目標10 人や国の不平等をなくそう
世界人権宣言や人権に関する国際文書、国際法が重要である。
すべての国は、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治若しくは信条、国籍若しくは社会的出自、貧富、出生、障害等の違いに関係なく、すべての人の人権と基本的な自由の尊重、保護及び促進責任を果たす必要がある。
包括的成長と持続可能な開発に対する移民の積極的な貢献を認識している。また、他国への移住は、送出、通過、目的地となる各々の国の発展に大きく関連している多面的な実態の現実であり、首尾一貫した包括的な対応を必要とするということを認識する。
移民に対し、その地位、難民及び避難民を問わず、人権の尊重や人道的な扱いを含む安全で秩序だった正規の移住のための協力を国際的に行う。このような協力は、特に開発途上国において難民を受け入れているコミュニティの強靱性(レジリエンス)を強化することにも注力すべきである。
移民が市民権のある国へ帰国するための移民の権利を強調し、国家は帰国する自国民が正当に受け入れられることを保証しなければならないということを想起する。
目標11 住み続けられるまちづくりを
持続可能な都市開発とその管理は、我々の国民の生活の質を確保する上で欠くことができないことであるということを認識する。
地域社会のつながりと安全の確保の他、イノベーションと雇用を促進するための都市や人間の居住地の更新、計画を実施するために地方政府やコミュニティと協働する。
化学物質の環境上適正な管理と安全な使用、廃棄物の削減と再生利用、水とエネルギーのより有効な活用等を通じ、都市活動や人の健康と環境に有害な化学物質の負のインパクトを減らす。
こうして、地球気候システムに対する都市の影響を最小化するよう努力する。
また、国家・農村・都市の開発計画を策定する際に、人口動態と将来推計を踏まえて検討を行う。
エクアドルの首都キトで開催が予定されている「人間居住と持続可能な都市開発に関する国連会議」に期待している。
目標12 つくる責任つかう責任
社会における生産や消費、サービスのあり方について根本的な変革をすることにコミットする。
政府、国際機関、企業、その他の非政府主体や個人は、開発途上国における持続可能な消費と生産を促進するための科学、技術、革新能力を獲得するための財政的、技術的支援等を通じてより持続可能な消費・生産パターンへの移行に貢献しなければならない。
「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み」の実施を促進する。開発途上国の発展と能力を踏まえつつ、先進国がリードの下で、すべての国々が実行をする。
目標13 気候変動に具体的な対策を
気候変動枠組条約が、気候変動に対する地球規模の対応を交渉するための主要な国際的、政府間フォーラムであるということを認める。
気候変動や環境破壊によって引き起こされた脅威に対し断固として取り組む決意である。地球規模の気候変動の特徴を踏まえ、世界の温室効果ガス排出削減を加速し、気候変動による負の影響に対する適応を促進するための可能な限り広い国際協力が求められる。
2020年までの世界の年間温室効果ガス排出に関する締約国の緩和約束の総体的効果と、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2又は1.5℃以内に抑える可能性が高い総体的な排出の道筋との間に大きな隔たりがあることについて深刻な懸念をもって留意する。
12月のパリにおける第21回締約国会合を見据え、野心的で世界共通の気候合意にむけて取り組むというすべての国のコミットメントを強調する。
気候変動枠組条約の下で全ての締約国に適用される議定書、他の法的文書又は法的効力を有する合意成果は、均衡のとれた態様、とりわけ、緩和、適応、資金、技術開発・移転、能力構築、行動と支援に関する透明性等を扱うものとすることを再度確認する。
目標14 海の豊かさを守ろう
社会的・経済的発展の鍵は、地球の天然資源の持続可能な管理にあると認識している。
よって、大洋、海、湖の他、森林や山、陸地を保存し、持続的に使用すること及び生物多様性、生態系、野生動物を保護することを決意する。
また、持続可能な観光事業、水不足・水質汚染への取組を促進し、砂漠化、砂塵嵐、浸食作用、干ばつ対策を強化し、強靱性(レジリエンス)の構築と災害のリスク削減にむけた取組を強化する。この観点から、2016年にメキシコで開催される生物多様性条約第13回締約国会議に期待を寄せている。
目標15 陸の豊かさも守ろう
目標16 平和と公正をすべての人に
持続可能な開発は、平和と安全なくしては実現できない。
同時に、平和と安全は、持続可能な開発なくしては危機に瀕するだろう。新アジェンダは、司法への平等なアクセスを提供し、(発展の権利を含む)人権の尊重、効果的な法の支配及び全てのレベルでのグッド・ガバナンス並びに透明、効果的かつ責任ある制度に基礎をおいた平和で、公正かつ、包摂的な社会を構築する必要性を認める。
新アジェンダにおいては、不平等さ、腐敗、貧弱な統治、不正な資金や武器の取引といった暴力、不安及び不正義を引き起こす要因に焦点が当てられている。
平和構築及び国家建設において女性が役割を担うことを確保することも含めて紛争の解決又は予防、及び紛争後の国々の支援のための努力を倍加しなければならない。
経済的・社会的発展及び環境の面でも悪影響を及ぼし続けている植民地下及び外国占領下にある人民の自決の権利の完全な実現への障害を除去するために、国際法に合致する更なる効果的な手段と行動を求める。
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
各々の国は、持続可能な開発を実現していく上で特有の課題に直面している。最も脆弱な国々、特にアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国は、紛争下や紛争後国と同様に特別な配慮を必要としている。同様に、多くの中所得国にも深刻な課題を抱えている。
脆弱な人々は能力強化がされなければならない。新アジェンダに反映されている脆弱な人々とは、子供、若者、障害者(その内80%以上が貧困下にある)、HIV/エイズと共に生きる人々、高齢者、先住民、難民、国内避難民、移民を含む。また、我々は複合的な人道危機の影響を受けた地域に住む人々及びテロの影響を受けた人々が直面する困難や苦難を取り除き、脆弱な人々の特別なニーズに対する支援を強化すべく、国際法に照らしながら、更なる有効な措置及び行動をとる。
各国は、特に開発途上国において経済及び社会の発展を阻害し、国際法と国連憲章に合致しないような一方的経済・財政・貿易措置の公布及び適用を行うことを慎むよう強く求められている。
文化間の理解、寛容、相互尊重、グローバル・シチズンシップとしての倫理、共同の責任を促進することを約束する。世界の自然と文化の多様性を認め、すべての文化・文明は持続可能な開発に貢献するばかりでなく、重要な成功への鍵であると認識する。
スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発及び平和への寄与、また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することを認識する。
国連憲章に従って、国の領土保全及び政治的独立が尊重される必要があることを再確認する。