全ての知識と知恵はSDGs(Sustainable Development Goals)のために。

「投資信託はこの9本から選びなさい」内容の要約と紹介:中野晴啓

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概要

最新版 投資信託はこの9本から選びなさい―――30代でも定年後でも、積立だけで3000万円

タイトルの9本に着目するより、「長期投資」できる「投資信託」の選び方を解説してくれているので、そちらの方がよほど重要である。

プロローグで書かれているように、日本には資産作りに適した良い投資信託がほとんどない。

しかも平均保有年数は2・3年である。
 それに
販売金融機関は売買してもらうことによって購入手数料が入ってくるのだから、「長期投資」などすすめるはずがない
 ▼
アメリカに目を転じてみれば
設定以来79年間で平均利回り(複利)は12.05%の株式ファンドがあるように、長期投資が根付いている
具体例:100万円を30年間預けた場合の複利
 金利0.03% 100万9,039円
 金利7.00% 761万2,255円
 ▼
リターンは世界経済の成長率に準じて7%前後は狙える
 ▼
長い時間をかけてお金を大きく育てる
日本人の平均寿命は83歳、定年後でも投資した方が安心できる
→現役を退いた後お金を運用し続けるという発想が必要

2013年7月19日第1刷発行

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メモ1

分散ポートフォリオに投資しているのであれば、保有しているだけで、他の資産クラスの中で、常にほどほどのリターンを実現できる
 つまり
長期投資に向いた投資信託を少しずつ買おう
投資信託は金融機関の窓口で買ってはいけない
 なぜなら
窓口は、販売のプロであり、運用のプロではない
資産運用にとって有利な商品をすすめてくれるとは限らない
 また、
窓口販売では、売りやすいものが並んでしまう
 ▼
結論:窓口では買ってはいけない
毎月分配型ファンドは買わないのが長期投資家の間の常識
 毎月分配金がある、ということは
 ・受け取る側に税金が課せられる
 ・分配金を支払うために、ファンドに組み入れられている資産の一部を売却して、分配金の原資を作る必要がある
 ・長期投資のメリットである、再投資効果が期待できない
 ▼
結論:長期投資には毎月分配型ファンドは向かない
これから運用がスタートする投資信託は買ってはいけない
多くの投資信託は「追加型」といって、運用が開始してからも、追加購入ができる
 しかし
販売金融機関は、新規設定ファンドをすすめたがる
過去の運用成績がないので、「売りやすい」ということになる
「人気ランキング」「運用成績ランキング」は何の参考材料にもならない
 間違っても
人気ランキングで買わないように
投資信託会社の運用担当者(ファンドマネジャー)は、銘柄当ての専門家ではなく、資産管理の専門家である
販売金融機関の窓口にいる販売担当者は、運用のプロではなく、販売のプロである
 ▼
この二つを誤解しなければ、投資信託を購入する際に間違った誘導を受けるリスクは避けられるはず

コストについて

1.購入時手数料 0~5%
2.運用管理費用 0.4~3%
3.信託財産留保額 0%~
運用管理費用の高いファンドが、高い運用成績を上げる保証はない
 ▼
高い運用管理費用率は、百害あって一利なし!

メモ2

基準価額は、需給バランスでは決まらない
ファンドに組み入れられている株式や債券の時価総額によって決まる
基準価格の場合、安い水準になったとしても、割安感を意味するものではない
アクティブ運用:市場平均プラスアルファの運用成績を目指して運用する
インデックス運用:市場平均への連動を目指す運用を行う → いわば偏差値50を目指すもの
 ▼
長期的なリターンを見る限り、インデックス運用に分がある
 ▼
いいとこどりを狙う
「コア・サテライト」戦略
インデックス運用をポートフォリオのコアとし、アクティブ運用をサテライトとして組み合わせる
イメージ: インデックス運用7割、サテライト運用3割
投資信託を組み入れて運用する「ファンズ・オブ・ファンズ」
きわめて理にかなったしくみ
 ▼
100銘柄を組み入れて運用している投資信託5本に分散投資しているファンズ・オブ・ファンズなら500銘柄に分散投資しているのと同じ効果
 ただし
手数料の二重取りになっている可能性がある

長期投資の選び方

1.投資期限は無期限のものを選ぶ
2.分配金を再投資に回してくれるもの
  日本では信託期間が無期限で無分配型は設計できない → 分配金再投資コースを選ぶこと
3.購入時手数料がゼロで、運用管理費用率が低いこと
  トータルの運用管理費用率は年0.74%±0.03%
  購入時手数料がかからないノーロード型の投資信託を選ぶ
4.運用資金が増え続けており、純資産残高が30億円以上
5.銀行口座から「自動積立」が可能なもの
6.「国際分散型」(バランス型)であること
・「テーマ型」でないこと … IT、地球環境、クラウド、食糧問題 など → 短期向き
・「ターゲットイヤーファンド」でないこと
・「地域限定ファンド」でないこと
・「特定の企業グループに投資するファンド」でないこと
・「外債ファンド」でないこと
自分でポートフォリオの資産配分率を決め、リバランスまで行うのは、オーダーメイドの服を作っているようなもの
 ▼
既製服である「パッケージ」がおすすめ

購入後の注意点

「純資産残高」の推移
 ▼
一定期間中における基準価額の騰落率と、純資産残高の増減率を比較する
 ↓
基準価額の騰落率に比べて、純資産残高の増減率が小さかったら、資金流出が生じていると判断できる

投資を学ぶにあたって避けられない考え方に「責任投資原則」(PRI:Principles for Responsible Investment)があります。2006年、国際連合事務総長のコフィー・アナンが金融業界に提唱したもので、機関投資家の意思決定プロセスにESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))を反映させるべきとした世界共通のガイドラインです。ESGを考慮に入れる投資手法は「ESG投資」と呼ばれ、他に「責任投資(Responsible Investment)」「持続可能な投資(Sustainable Investment)」などとも呼ばれます。ESG投資の流れを裏付ける考えの一つが、「責任投資原則」(PRI)です。すでに世界1,500機関以上のアセットオーナーや運用会社などが署名しており、世界最大の年金基金である日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も2015年9月に署名しました。ESG投資は一般的な投資手法(メインストリーム)へと変貌を遂げました。そして、ESG投資や責任投資には持続可能性への貢献と、SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)に貢献する役割が期待されています。投資の世界でもSDGsを基本事項として理解しておかなければならない時代になりました。今では一歩進んでポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)という、SDGsを達成するための投融資が始まりました。

目次

プロローグ 誰も言えなかった「投資信託」の真実
1章 どうしたら「お金に困らない人生」を手に入れられるのか
・ 賢く投資することで、誰でも「お金に困らない」人生を選べる!
・ 日本人の平均寿命は83歳。定年後でも投資をしたほうが安心できる
・ インフレに打ち勝つためにも「投資」をしておいたほうが安心
・ 簡単、楽ちん、みんなが笑顔になる長期投資のすすめ
・ 世界の人口が増え、経済成長する限り、長期投資は負けない
・ 全世界への投資は、リーマンショックを経てもこの17年、6%のリターンになっている!
・ 投資信託を利用して、少額から簡単に全世界へ投資する
・ なぜ、個人の資産作りに投資信託が向いているのか
・ 月々3万円の積立で、誰でも3000万円が作れる簡単な方法
2章 投資信託は「窓口」で買うな!
・ なぜ金融機関の「おすすめ」を買うと、お金が減るのか
・ 窓口販売には、良いものではなく「売りやすいもの」が並んでしまう
・ 米国の投信は運用79超、平均リターン12.05%のものも!
・ 「毎月分配型ファンドは買うな!」は長期投資家の間では常識
・ あなたもカモになっている! 窓口で「新商品」をすすめられたら要注意
・ 「人気ランキング」「運用成績ランキング」は全く当てにならない
・ 「専門家の運用だから安心です」は信用できるのか
・ 結局は売る側がトクしている、「仕掛け」のある商品にだまされるな!
・ 通貨選択、カバードコールなど複雑なしくみで高配当の投信が増加中!
3章 だまされないために知っておくべき投資信託のしくみ
・ 投資信託を購入する窓口、「販売金融機関」と「購入時手数料」
・ 投資信託を作り、運用する「投資信託会社」
・ 投資信託会社は、金融機関の「系列系」と「独立系」の2つがある
・ 実際に資産の管理や保管、売買などを行なう「受託銀行」
・ 長期運用するほど負担が重くなるコスト、「運用管理費用」とは
・ 「信託財産留保額」はコストであってコストではない
・ 「基準価額」が低くても、割高な投資信託とはどんなものなのか
・ アクティブ運用 vs インデックス運用
・ 「コア・サテライト」戦略でより大きなリターンを狙う
・ 「ファンド・オブ・ファンズ」のしくみと注意点とは
4章 投資信託はこの9本から選びなさい
・ 日本国内で設定・運用されている投資信託の数は3376本
・ 信託期限は無期限のものを選ぶ〜投資信託選びの基本条件その1
・ 分配金を再投資に回してくれるもの〜投資信託選びの基本条件その2
・ 購入時手数料がゼロで、運用管理費用率が低いこと〜投資信託選びの基本条件その3
・運用資金が増え続けているもので、純資産残高は30億円以上がベスト〜投資信託選びの基本条件その4
・ 手間なし! 銀行口座から「自動積立」が可能なもの〜投資信託選びの基本条件その5
・ 「テーマ型」投資信託は短期で売り抜けたい人向き
・ 「ターゲットイヤーファンド」も避けておくべき
・ まだある! 長期投資に向かない投資信託の見分け方
・ 投資信託はオーダーメイドより「パッケージ」を選べば面倒ナシ!
・ 投資信託は、この9本から選びなさい
1.世界の株と債券が50%ずつ。これ1本で資産が作れる!〜セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
2.主要国の株へ投資、米国の割合が6割以上。コストは最安値といえる!〜SMT グローバル株式インデックス・オープン
3.シリーズ展開している商品で、その中でも主に先進国の株へ投資〜eMAXIS 先進国株式インデックス
4.設定9年。日本株への投資比率が6割超と高めの直販ファンド〜ありがとうファンド
5.アクティブ運用のファンドを組み入れ、日本も含めた世界へ分散投資〜セゾン資産形成の達人ファンド
6.国内外の株4割、債券4割、REIT(不動産)2割のバランス型ファンド〜SBI資産設計オープン「資産成長型」
7.世界の主要指数を組み合わせ、株と債券の半々に投資するコスト安ファンド〜世界経済インデックスファンド
8.新興国への投資比率が4割と高め。世界の株へ投資する直販ファンド〜ユニオンファンド
9.株と債券の両方へ投資。アクティブファンドを選択しているのにコスト安!〜楽天資産形成ファンド
・ なぜ、前著のおすすめ3本が外れてしまったのか
5章 「長期投資」にまつわる、みんながいちばん知りたいこと
Q.退職金、ボーナスなど、まとまったお金があったら一括購入をしてもいいのでしょうか?
Q.「今はお金がない」ので、「もう少し余裕ができてから」投資を始めてはダメですか?
Q.購入した後、ほったらかしはダメと言われました。「リバランス」は必要ですか?
Q.購入した後、「基準価額のチェック」はどうしたらよいですか?
Q.購入した後に注意すべき点はなんですか?
Q.生活スタイルが変わってしまい、今まで通りの積立が厳しくなったら?
Q.すでにダメな投資信託を買ってしまっています。どうしたらよいでしょうか?
Q.「長期投資」は、設定後、ほったらかし。これって案外、退屈なんですが……
Q.購入時手数料がゼロなのでトクだと聞きました。「直販投信」ってなんですか?
Q.「長期投資」とは、何年くらいが「長期」なんですか?
おわりに 〜長期投資は難しくない!

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