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「スマート・チェンジ」内容の要約と紹介:アート・マークマン,小林由香利 訳

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習慣を変えていくことの難しさ

スマート・チェンジ 悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略

習慣を変えていくこと。

その難しい作業を、5つの戦略をもとに実行していくやり方を教えてくれる。

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第1章 行動改善の難しさ

前向きな目標であれ、そうでなくとも
自分の目標を達成するように調整されている。
 ▼
それを動機付けシステムという

問題は
脳が、今すぐに変えたいと思っている行動を、必死で続けようとしていることである。

そのため
行動を変えるには
過去にした事を続けるためのメカニズムを中断して
動機付けシステムを新たにプログラムしなおさなければならない

本書では
動機付けシステムの科学的な仕組みを紹介する

習慣が行動を変えにくくする

脳は考える時間をできるだけ少なくするようにできている

興味深いのは
脳が何をしている場合、ほぼ同じくらいのエネルギーを必要とすることである
 ▼
・懸命に考えているとき
・慣れた作業をしているとき
 ▼
消費するエネルギーの量は変わらない
そのため
脳は、考える時間を最小限にしたがる

行動を変えられない本当の理由
 ▼
古い行動が厳密にはうまくいっていても、その行動を変えたい場合があるからである
 たとえば
ダイエット
 ▼
古い行動がまだ有効なはずだ
食べたいから食べる
 だが
習慣でする行動は、望む行動ではなくなっている
 ▼
前にやっていたことをしないようにする方法を見つけなければならない
 ↓↑
エネルギーをできるだけ節約したがる脳と戦うことになる

今じゃなきゃだめ!

誘惑に勝つ難しさに目を向けたのが「マシュマロ実験」
1960年代に心理学者のウォルター・ミシェルが考案した

行動を変えにくくしているもの
障害は二つ

1.脳はエネルギーを節約したがる
  そのため、過去の行動が成功に結びついたときは、同じことを繰り返させたがる

2.自分の意思で行動を変えたい場合でも
  さらにいいものが手に入るまで待てず、今すぐ手に入るものを手に入れたがる
  目先のものに弱いということだ

スマート・チェンジへの道

1.自分が達成することに系統的に失敗している目標を突き止める

2.原因を探り出し

3.変わるには何が必要かを見極めなければならない

シンプルだが、難しい。
根気よく続けるしかない。

第2章 行動を持続する

ゴーシステムストップシステム

ゴーシステム

ゴーシステムは個人の習慣製造マシン

1.ある程度の努力を要する新しい行動をやり遂げる手助けをする
2.頻繁にとる行動を習慣化し、無意識にその行動が取れるようにする
 ▼
ゴーシステムは常に活性化している
本人が気がつかないうちに、習慣が生まれる仕組みになっている

脳はエネルギーを最小限にしたがるので
ゴーシステムは達成した目標をパターン化して無意識にすばやくできるようにする方法を絶えず探している
 ようするに
習慣作りの方法を探している
 ▼
一貫したマッピング(対応付け)と反復あるのみ

報酬信号
=目標達成や予想外の報酬に伴う脳の活動
 (ラットに報酬を与えるたびにおきることから名づけられた)
 ▼
行動に何か報酬がある場合だけでなく
照明のスイッチを入れるという普通の行為も習慣になりうる

活性化した目標と注意

ゴーシステムは目標達成に役立つものに気づく手助けをする
この能力は機会主義的プランニングをサポートする。

ストップシステム

ストップシステムの役割は

取りたくない行動を監視すること
望ましくない行動が作動しているのを発見したら、行動を食い止めなければならない
 だが
ストップシステムは、ゴーシステムに比べてはるかに劣る

ストップシステムは精神的な努力を要する
一方で、習慣は努力を要しない
 ▼
習慣のほうがストップシステムより有利になる

行動を変えてその状態を維持する5つの鍵

1.目標を最適化する
2.ゴーシステムを飼いならす
3.ストップシステムを利用する
4.環境を管理する
5.他人とかかわる

第3章 目標を最適化する

目標には2種類ある
1.結果目標
2.プロセス目標

ゴーシステムは何もしないことを学習できない
何かを「しない」ときを予測する方法は学習したがらない
 ▼
ある行動をやめようとすれば消極的目標が生まれる
 だが
消極的目標ではゴーシステムは作動しない
 ▼
ある行動をやめなければならないときには、積極的目標を設定してゴーシステムを作動させるようにしなければならない

達成したい全体的目標を、消極的ではなく、積極的な形で設定する必要がある

第4章 ゴーシステムを飼いならす

貢献を果たす人たちは自分の日課というものを真剣に考えている
起床後すぐに仕事に取り掛かり、一日の始まりにエネルギーを活用しようと心がける
昼間の成果が上がると考える人はほとんどいない

成功している人はゴーシステムを飼いならしている
 ▼
全体的目標を脅かす誘惑は誰の人生にもある
成功の障害となるものは常に存在する
成功している人が生み出す日課は習慣となる

心理学者のピーター・ゴルウィツァー、ガブリエル・エッティンゲンら
どんな計画を立てる必要があるかを研究してきた
 ▼
目標達成の準備をするために「実行意図」を作った場合が最も効果的
 ▼
将来を思い浮かべること
「空想」して、行動のリストアップをする

私はどんな行動を取るつもりか
それをいつやるか
どこでやるか
どのくらいの頻度でやるか
目標達成のために自分の生活のどういう面に取り組む必要があるか
誰の助けが必要か
どんなリソースが必要か

成功を阻む障壁を探すプロセスが「消極的空想」である。
 ▼
成功するためにやるべき前向きなことをすべて考える
 同時に
失敗するかもしれない理由を探す必要がある

起きる可能性が非常に高い、ほぼ確実に遭遇する障壁
起きる可能性は低い、ある障害が起きそうにないと確信しているなら、今のところは除外していく候補
起きる可能性はなくはない、起きるかもしれないが、起きる可能性がとても高いわけではない その中間という項目もあるだろう

第5章 ストップシステムを活用する

誘惑に対処するには計画が必要
 ▼
計画があればストップシステムの負担は軽くなる

行動を変える過程で戦闘には何度か破れたとしても、戦争には勝つ必要がある
 ▼
「どうにでもなれ効果」を避ける方法を突き止めるには、その効果をもう少し知る必要がある

倫理的立場を心理学で「保護された価値」と呼ぶ
自分がとにかく絶対に破らないルールの主張である
 ▼
保護された価値の特徴のひとつ
破った場合には激しい感情的反応を引き起こす
 つまり
ショックや怒りや屈辱を覚える
 自分で破れば
やましさや惨めな気分にさいなまれる
 ▼
保護された価値は重要な自制機能を果たす

保護された価値があれば
 ▼
自分の行動を管理するのに役立つ強力な仕組みを利用できる

また
保護された価値のシステムは文化に属する人間にとって犯しにくいルールを生む一助となる

研究によれば
いい習慣が身につけば、誘惑の存在はむしろ望ましい目標をさらに活性化するようだ
 また
生活のあらゆる面に強力な技能的要素があるらしい
つまり、必死の努力と訓練で向上できるものがほとんどだということである

第6章 環境を管理する

行動改善に成功するためには
外にも目を向ける必要がある
 ▼
習慣には環境と行動との一貫したマッピングが関係する

習慣になるくらい十分に繰り返す
決まった行動を決まった環境で20回くらい繰り返せば、習慣化する公算は十分にある

自分の行動を変えようとしているとき
いつもの生活をちょっと中断する
 ▼
最も変えにくい習慣はゴーシステムが無意識に作動するタイプの習慣
すでに環境が行動に強く結びついている

新しい環境に対処する戦略を立てるには
体と心の相互作用を探る
認知心理学でいう具現化された認知に時間を割く必要がある

第7章 他人と関わる

進んで家族をまきこみ、手を借りるべき
大きな見返りを求めずに必要なものを提供してくれるのは家族だろう

良い他人・悪い他人

悪い他人:達成したい貢献を妨げる目標を持っている人
 ▼
そういう人のいる場所には近づかないこと

隣人(さらに言うなら神)に認められないことだけを、ある行動を避ける理由にすべきではない
ストップシステムは控えめに使う必要がある
 ▼
したがって
隣人はもっぱら新しい行動を強化するために使いたい

第8章 変化を起こす

失敗の仕方を学ぶ

自分を思いやる度合いの高い人
 ▼
失敗は自分が取った行動と
その結果生じた状況と
それ以外の不可抗力の
組み合わせだと考える
 ▼
それでも
いつか自分自身の行動を変えて再び失敗する可能性を減らすことができると認識している

第9章 自分以外もスマート・チェンジ

人の行動を変える手助けをする8つの方法

1.手本を示す ・・・ 目標伝染
2.目標を提案する
3.正しいフィードバックをする
4.習慣作りをサポートする
5.怠惰さを利用する
6.いい行動は安価に、悪い行動は高価に
7.支援ネットワークを作る
8.会話に参加する

目次

序文

第1章 行動改善の難しさ
習慣が行動を変えにくくする
今じゃなきゃだめ!
行動を変えることを状況の中で考えてみる
スマート・チェンジへの道
・あなたのスマート・チェンジ日誌
重要ポイントのまとめ

第2章 行動を持続する
ふたつのシステムの話
目標
ゴーシステム
習慣の見分け方
活性化した目標と注意
ストップシステム
なぜ行動改善は難しいのか
変わるためのツール
重要ポイントのまとめ

第3章 目標を最適化する
具体的な目標設定をしていない
プロセスではなく結果を重視している
積極的目標を見失う
・目標を最適化するための計画
全体像を考える
行動・障害・サイン
プロセスを見つける
積極的目標を見つける
消極的目標を積極的行動に変える
目標と柔軟性
重要ポイントのまとめ

第4章 ゴーシステムを飼いならす
・新しい行動を自分の生活にどう組み込めばいいか
行動に対する非現実的な期待
・ストレスと変化
障害に対処する
目標にエネルギーを与える
覚醒と行動改善
重要ポイントのまとめ

第5章 ストップシステムを活用する
計画を立てよう
距離を置く
戦闘に負けても戦争には負けるな
守られた価値観
「どうにでもなれ効果」を回避する
潜在能力を目覚めさせる
重要ポイントのまとめ

第6章 環境を管理する
周囲の環境を管理することを学ぶ
変えたいことに関連する重要な環境を思い描く
環境を変えて古い習慣を断ち切る
周囲の環境を変える(ただし変えすぎは禁物)
起こしたい変化を習慣にするために周囲の環境をどう調整できるか
あなたと同じ環境にいる人に対処する
新しい環境に対処する
重要ポイントのまとめ

第7章 他人と関わる
人間関係の種類
関係と行動改善
家族―私の行動を変えるのに家族をどう巻き込むか
いい他人・悪い他人
コミュニティの誰と関わり、隣人はどう役立つか
コミュニケーションとコミュニティ
あなたの目標を伝え、最適化する
人間関係と習慣
・習慣日誌
重要ポイントのまとめ

第8章 変化を起こす
目標を最適化する
ゴーシステムを飼いならす
ストップシステムを活用する
周囲の環境を管理する
人と付き合う
計画を実行する
先延ばしに対処する
周囲の環境を変える
コミュニティの協力を取り付ける
約束遂行の契約
進捗状況を追う
変化の段階
興奮する段階
壁にぶち当たる段階
変化の各ステージにコミュニティを関与させる
協力の精神で
行動改善は競争ではない
良き助言者になる
自分への思いやり
失敗に対する寛容さ
失敗の仕方を学ぶ
重要ポイントのまとめ

第9章 自分以外もスマート・チェンジ
人の生活に関与して変化をもたらす
自分の行動を変えて他人に影響を与える
信頼と正統性
人の行動を変える手助けをする8つの方法
重要ポイントのまとめ

スマート・チェンジ日誌

謝辞
参考文献

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