概要
本書が対象とするのは、「製品・サービス」としてのプラットフォームです。
プラットフォーム・ビジネスは製品・サービスが組み合わせ可能なことを想定しています。産業をレイヤー構造で表現することでうまく表せます。
アカデミックに定義すると、その製品・サービスを前提にして利用できる他の製品、サービス、情報(補完製品、補完情報など)が存在し、ユーザーが補完製品、補完情報などの多様な選択を直接行えるようにしている製品・サービスを提供するビジネスとなります。
プラットフォームとは元来、周囲よりも高くなった水平で平らな場所を指していました。日本では最初に駅のプラットフォームを意味する言葉として入ってきました。英語では立つための台お意味でも使われています。
経営学う用語としては、多様な製品の共通部品、多様な製品、とくにソフトウェアやサービスの土台となる概念として浸透していきました。
プラットフォームビジネスではネットワーク効果が働いて、ひとり勝ち現象(WTA現象=Winner-Take-All)が起こりやすいです。
ですが、スイッチングコストが低い場合、これが覆ることがあります。
ビジネス・エコシステムと呼ばれるものがあります。
エコシステムとは「生態系」を意味します。ある程度閉じられた地域において、環境の中で生きている動物や植物アドの生物のひと固まりを意味しており、その中では相互作用があります。エコシステムは完全には閉じられておらず、他のエコシステムとの関係性の中でも存在します。
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ICT分野ではエコシステム単位での競争と戦略に注目する必要性が高まっています。
エコシステム間の競争とは、言い換えればプラットフォーム間の競争でもあります。
目次
第1章 プラットフォームビジネスの定義と現状
1 プラットフォームビジネスとは
1 製品・サービスが組み合わせ可能なビジネスモデル
2 プラットフォームビジネスの増加
3 アカデミックな定義
4 レイヤー構造化が進む理由
5 プラットフォーム部品とプラットフォーム製品の違い
2 「プラットフォーム」概念の歴史
1 プラットフォームという言葉
2 経営(学)用語への進化
3 コンピュータ用語としての概念
4 経営学用語としての概念
5 「階層」から「媒介」的意味への変遷
3 プラットフォームビジネスの分類
1 基盤型プラットフォーム
2 基盤型プラットフォームの例
3 媒介型プラットフォーム
4 媒介型プラットフォームの例
5 2つのプラットフォームは融合されつつある
6 媒介型と基盤型の複合ビジネス
第2章 重要キーワード、収益モデル&インパクト
1 プラットフォームビジネスの特徴と関連テクノロジー
1 プラットフォームの成長エンジン ネットワーク効果
2 プラットフォーム間競争と「ひとり勝ち」[WTA]現象
3 プラットフォームビジネスと「ビッグデータ」
2 プラットフォームの収益モデル
1 収益モデル
2 収益モデルの基本3タイプ
3 収益モデルの実際
3 プラットフォームのビジネスモデルへの影響
1 ビジネスモデルの変化
2 企業間関係の変化
4 プラットフォームビジネス戦略の課題
1 エコシステム間の競争
2 エコシステム間競争特有の戦略課題
3 エコシステムの中の主役交代
4 クロスプラットフォーム製品の登場
5 プラットフォーム独自の戦略テーマ
6 補完プレイヤーを「巻き込み」仕組みづくり
7 プラットフォームビジネスの拡大と浸透
5 プラットフォームビジネスが促すイノベーション
1 製造業の付加価値向上
2 3つのイノベーションの新しい形 イノベーションの民主化
3 プラットフォームで変わるプレイヤーの関係
第3章 分野別の最新動向と成長戦略
媒介型プラットフォーム
1 ショッピングサービス
COLUMN 楽天
2 オークション、フリーマーケット
3 コンテンツ配信サービス
4 情報マッチングサービス
5 予約サービス
6 位置情報サービス
7 オンライン講座
8 クチコミ&レビュー
9 ソーシャルネットワーキングサービス[SNS]
COLUMN LINE
10 画像・動画共有
11 ジョブマッチング
12 クラウドソーシング
COLUMN ランサーズ
13 クラウドファンディング
14 オープンイノベーション
15 eマーケットプレイス[ビジネスマッチング]
16 リバースオークション/間接財購買代理
COLUMN 購買戦略研究所
17 電子決済
基盤型プラットフォーム
18 モバイルOS
19 ゲーム専用機
20 ソーシャルゲーム
21 電子書籍
22 健康・スポーツ関連
23 CPU
24 クラウドサービス
リアルの世界のプラットフォーム
25 駐車場ビジネスなど
26 プラットフォームとしてのソーシャルビジネス
第4章 ユーザーとしてのプラットフォーム利用戦略
1 プラットフォームをどう利用するか決める
2 参加するプラットフォームを決める
3 プラットフォームの効果を出す
COLUMN 補完プレイヤーとしてプラットフォームに参加する
付録
アンケート調査集計結果