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「トップリーダーが学んでいる「5年後の世界経済」入門 いま知っておくべきこと、やるべきこと」内容の要約と紹介:中原圭介

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概要

人気エコノミストによる向こう5年(2018年~2020年)の世界を描いた書。

現在、すでに起きていること、もしくはすでにある技術などの中から、5年後に大きく影響を与えそうなものをピックアップしているという感じです。

そして、それが5年度にどのようなインパクトを与えているだろうかという、未来予想図です。

2013年12月20日初版発行

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目次

まえがき

第1章 中国は崩壊もありうる これからは投資すべきではない
 中国への工場移転メリットはすでになくなっている
 中国の環境破壊は報道されている以上に深刻だ
 中国の経済成長率は5%にも達していない!?
 中国はいつ内戦になってもおかしくない

第2章 アメリカは製造業大国になる エネルギー価格下落を再評価すべき!
 原油価格はあと1~2年でピークアウトする
 シェール革命が進むと世界の食糧価格も下がる
 シェール革命が進むと中東とロシアの経済が悪化する
 電気自動車は売れない。次世代の自動車は燃料電池車だ
 アメリカがエネルギー大国にある日。そして日本は

第3章 世界各国への投資のタイミングはいつか? どこの国と付き合うべきか?
 「とにかく外国に飛び出せ」は間違い
 ブラジル経済のバブル崩壊は間近
 ドイツ一強時代の到来が欧州混乱の火種に
 欧州が長期低迷する理由とは
 ユーロの価値は国ごとに違う
 中国よりも日本びいきの国に投資せよ
 これから「民主化」する国にはチャンスがある

第4章 「チャイナ・プラス・ワン」から「アメリカ・プラス・ワン」へ アメリカは”よいデフレ”によって復活する!
 「チャイナ・プラス・ワン」から「アメリカ・プラス・ワン」の時代になる
 アメリカは10年単位で見ると「デフレ経済」に移行する
 米ドルは最強通貨になる
 資本主義の限界はあと20年から30年で訪れる

第5章 日本はこれからどうすべきか グローバル化の中でのリーダーの戦い方
 マーケティング戦略のないビジネスは失敗する
 経営者は戦う土俵を冷静に見極めなければならない
 ビッグデータの賞味期限はせいぜいあと5年
 金融緩和が中小企業を追い込んでいるわけとは
 円安が進んでも移転企業は日本に戻ってこない
 法人税引き下げが日本の競争力アップのかなめになる
 M&Aの8割から9割は失敗する

第6章 世界で生き抜くために今からできること 日本力を活用せよ
 求められるリーダー像とは
 働く人の幸せにつながる会社が応援される会社になる
 衰退のピッチを遅らせるためにもゆとり教育世代を育てよ
 シニアが働けない状況は国益を損なう
 企業の失敗史を作る
 海外で研修させればよいというものではない
 海外で優秀な人材を獲得するためには
 ビジネスで成功するのに英語は必要か

あとがき

第1章 中国は崩壊もありうる これからは投資すべきではない

人件費が高騰、加えて労務管理が難しい。

シェールガス革命によりエネルギーコストの低下が見込まれる。

上記の理由により中国への魅力は薄れている。
 ▼
すでにアメリカでは国内回帰の動きが起きている。

そして生産拠点は中国からアメリカ南部へとシフトしていくと思われる。

中国の経済成長率には注意が必要。
 たとえば
地方政府が各々で算出するGDPを合計していくと、中央政府が公表している中国全体のGDPを上回るという珍現象が起きる。

これは、地方政府がウソの数字を公表しているためである。
 ▼
では

比較的信用できそうなのが電力消費量の伸び率と鉄道の輸送量である。
これらをみると
中国の経済成長率は公表されている数値に疑問を抱かせる内容となっている。
 ▼
なぜ成長率7%にこだわるのか

それは、国内で暴動が頻発して政府では押えきれない恐れがあるため、公式では7%を下回ったとは言えない状況にある
 この状況を考えると

中国はいつ内戦になってもおかしくはない
2012年あたりを境に、中国から撤退するアメリカ企業が目立って増えてきている

第2章 アメリカは製造業大国になる エネルギー価格下落を再評価すべき!

シェール革命によってエネルギー価格は数年のうちに下落していく

アメリカはシェール層がほぼ全土に広がっており、埋蔵されている天然ガスはアメリカの現在のエネルギー消費量の300年以上と考えられている。

また、シェールオイルの採掘量がこの1~2年で急増している
 ▼
アメリカはこれまでほど原油に依存した経済ではなくなる可能性がある。

自動車社会だが、ガソリンをそれほど消費しなくて済む社会に移行する可能性がある。
 となると
原油はむしろ供給過剰になるかもしれない
 ▼
今後
中東では原油があまり、ロシアでは天然ガスがあまる

原油価格は、1~2年でピークアウトする

バイオエタノール事業などは、シェール革命のあおりを受ける
 ▼
バイオエタノールが価格競争力を失う
 そうすると
原材料となっているトウモロコシなどの穀物をつかわなくなる
 ▼
トウモロコシはもともと飼料
そのため、食肉価格が下がる
 +
トウモロコシではもうけられないため、べつの穀物の生産にシフトする
=穀物価格が下落する

シェール革命が進む結果、自動車は電気自動車ではなく燃料電池車が本命となっていく
 ▼
あと10年はハイブリッド車が普及していくが、その後は燃料電池車が主流になっていくだろう

燃料電池車は水素を燃料とするが、石油の元売り企業にとっては、水素は利益を出せるエネルギーとなる

石油の精製過程で水素は自然発生するため、新たにコストをかけることなく、水素を取り出せることになる。
 ▼
エネルギー企業にとっては、水素販売を軸とした再編が進むだろう

第3章 世界各国への投資のタイミングはいつか? どこの国と付き合うべきか?

人件費が安いから、成長の伸びしろが大きいからという理由で外国に飛び出すのは危険である。

国内の拠点に改善を挑む前に国外に出た企業は、進出先で生産性が伸びずに悩むケースが目立つという

ブラジル経済のバブル崩壊は間近

一般家計における可処分所得の20%以上が借金返済に充てられている
(アメリカのサブプライム危機の時、可処分所得の14%程度だった)
 +
鉄鉱石の価格が下落傾向に転じれば、貿易赤字国に転落してしまう
欧州はドイツ一強時代へ突入していく
フランス経済のスローダウンが懸念されている
 ▼
ドイツ流の経済成長策は我慢の成長
フランス流はドイツの対極、緊縮策を緩めた分、政府の財政出動で需要を創るという考え方
 ▼
欧州は長期低迷する
三重のバランスシート不況に苦しんでいる
1.国家のバランスシート不況
2.銀行のバランスシート不況
3.家計のバランスシート不況
 ↑↓
日本は、企業のバランスシート不況、銀行のバランスシート不況に苦しんだ
アメリカは家計のバランスシート不況に苦しんだ
 ▼
15年~20年の長期低迷を覚悟する必要がある
中国、韓国より、日本びいきの国に投資せよ
中国や韓国とはやや距離を置いて付き合うのが無難である。
一方で
東南アジアや南アジアの親日国との付き合いを重視した方がよい

第4章 「チャイナ・プラス・ワン」から「アメリカ・プラス・ワン」へ アメリカは”よいデフレ”によって復活する!

中国のリスクが高まっているため、チャイナ・プラス・ワンではリスク回避にならない

 中国のリスクとは
1.中国政府主導による大規模な反日デモのリスク
2.労働ストライキの頻発と、それに伴う労働賃金の高騰リスク
3.環境問題の悪化による環境対応コストの負担リスク
4.格差拡大による農民や民衆の暴動リスク
5.シャドーバンキング問題にみられる不動産バブル崩壊リスク
  (シャドーバンキング問題は、IMFが最悪300兆円規模の貸し倒れが予想され、世界最大のリスクとされる問題である)
 ▼
「アメリカ・プラス・ワン」を目指すべき

アメリカを拠点として、親日的な東南アジアのどこかにプラスワンを持っていく
これにより
中国マーケットにも対応できるようになる

OECDの付加価値ベースでの貿易統計によると、
日本の大幅な貿易黒字を維持している相手はアメリカであり、中国や韓国へは若干の赤字になっていることが分かった
・FRBの量的緩和縮小がエネルギー価格を押し下げ、10年単位で見た場合、アメリカはデフレ経済へ移行する
・シェール革命により、アメリカの貿易収支の赤字が減る
  ▼
 ドルは上昇していく(長期的に見れば、円高よりもドル高に進む)
  +
 中東原油に依存する比率が低くなったら、中東方面への軍事費が削減される

第5章 日本はこれからどうすべきか グローバル化の中でのリーダーの戦い方

進出する国の国民性、価値観や文化、家族構成などの応報を集め、戦略に活用していくことが必要
 +
戦うべき土俵を見極めること
たとえばテレビ。コモディティ化が進んでいるにもかかわらず、巨費を投じて巨大工場を稼働させれば需給バランスが崩れるのは目に見えている

つまり、テレビが高級商品ではなくなっていることに気がつかなかったことに致命的な戦略ミスがある

ビッグデータはあとせいぜい5年が賞味期限
これは
どの業界にも当てはまることで、新しいビジネスモデルも5年もたてば陳腐化する

円安が進んでも移転企業は日本に戻ってこない
すでに為替リスクを回避する経営を心掛けるようになっているため、日本に戻すメリットがない
 ▼
円安により海外の工場が日本に回帰するというのは幻想である
だが
国内のエネルギーコストの低下、相対的な人件費の低下によって回帰する可能性はある
・シェール革命により、電気料が下がる可能性がある
・中国をはじめとするアジア諸国の人件費の高騰により、相対的に日本の人件費は低下している
 ▼
さらに
法人税率を引き下げれば、日本の競争力はアップする
日本の法人税率は38%、韓国は24%、この差は大きい
 +
税収の増加にもつながるかも
企業の中で法人税を納めているのは約3割といわれている
→引き下げることによって、法人税を払ってもいいという企業が増えるかもしれない

第6章 世界で生き抜くために今からできること 日本力を活用せよ

リーダーには「本質的」「中長期的」「多面的」な視点が要求される

短期的な見方をすると、いわゆる「ブラック企業」が生まれる土壌をはぐくむことになる
 本当に優れた企業経営者は
安定した雇用の機会を提供するとともに、従業員にまっとうな生活を送ってもらえるようにするものである
 ▼
たとえば
岡山市のアパレル企業「クロスカンパニー」(「アースミュージック&エコロジー」)

社長は全員を正社員とした。
成功している中小企業が大事にするのは、従業員とその家族
日経の記者と意見が一致した点である

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