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「イーロン・マスクの野望 未来を変える天才経営者」内容の要約と紹介:竹内一正

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概要

イーロン・マスクについて書かれた初めての書籍。

スタンフォード大を2日で辞め、ペイパルを起業して得た170億円をもとに、ロケット会社(スペースX)、電気自動車会社(テスラモーターズ)を立ち上げました。

スペースXでは民間初の宇宙ロケットで国際宇宙ステーションドッキングに成功させ、テスラモーターズではポルシェより早いスポーツカーを発売。

イーロン・マスクが考える世界が実現していくのでしょうか…。

2013年12月30日第1刷発行

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イーロン・マスクとは

1971年、南アフリカ生まれ。

12歳の時にゲームソフトを作成し、500ドルで販売していた。

17歳で母国を離れ、カナダ、アメリカへと移り住んだ。

アメリカのペンシルベニア大学で物理学と経営学を修め、スタンフォードの大学院に進んだが、2日で辞めてソフト会社「Zip2」を企業。
同社をコンパック社に3億ドルで売り、得た2200万ドル(約22億円)をもとにインターネット決済サービス会社「Xドットコム」を立ち上げ、ペイパル社の母体を築く。

ペイパル社売却で1億7千万ドル(約170億円)を得ると、宇宙ロケットベンチャー「スペースX社」を31歳で立ち上げ、6年で独自開発ロケット「ファルコン1」の打ち上げに成功する。2年後には民間として初めて国際宇宙ステーションにドッキングさせた。このロケットの費用は従来の10分の1という製造コストだった。

スペースX社と並行して2004年に電気自動車ベンチャー「テスラ・モーターズ社」に出資し、会長とある。発売されたロードスターはポルシェより早く、1回の充電で400キロ走る。

この電気自動車の充電に必要なステーションは「ソーラーシティ社」が行っている。同社はイーロンの従兄弟が経営するが、アイデアと資金を提供している。

彼が今現在(2013年時点)で手掛けている事業は主に3つ。宇宙ロケット、電気自動車、太陽光発電。この3つの分野で革命を起こそうとしている。

いずれもが国家ですら手を焼く事業であるにも関わらう、イーロンはすべてを一人でやろうとしている。

いまや、彼の資産は約80億ドル(約8000億円)といわれている。

彼の野望が野望のまま終わるのか、同時代に生きる我々は見届けるチャンスがある。

そして、彼は今後何をやっていくのだろうか。

イーロンを見ていると、イノベーションはまったくかけ離れた業界から起きるというのがよくわかる。業界の慣習の中にいる者ではブレークスルーは難しいのかもしれない。

ネットベンチャー

Xドットコム社はインターネットの決済サービス会社。

同じころに同様にサービスを展開していたのが「コンフィニティ」で創業者はマックス・レフチン。

この両者が2000年に合体してできたのがインターネット電子決済サービス会社「ペイパル社」である。

その後、オークションサイトのeBayが15億ドルで買収し、イーロンは1億7千万ドルの資産を手にすることになる。

このペイパル社時代に、内部抗争が生じ、イーロンは追放される事態に追い込まれている。

宇宙ロケット

スペースX社の目標は火星へ人類を移住させることである。

人口の急増からくる諸問題を考えた場合、いずれ人類は地球以外の惑星に住まなければならないだろと考えた結果だった。

そのために越えなくてはならなかったのが、巨額すぎるロケット開発費である。

イーロンはペンシルベニア大学で物理学を専攻しているためだろうか、思考の展開は「原理」から展開する。

ロケット開発を目指すうえで、ロケットの材質はないからできているか、という根本的なところから始まった。そこから組み立てていくと、ロケットの材料コストは開発コストのたった2%にしかならない。ということは、ロケットの総コストは大きく下げられるはずである。

目標は従来のコストの10分の1。

数々の打ち上げ失敗のあと、2008年9月28日、ファルコン1の打ち上げに成功した。

創業6年目の偉業だった。

同じように宇宙を目指したアマゾン・ドット・コムを立ち上げたジェフ・ベゾスもヴァージン・グループのリチャード・ブランソンも成し遂げられなかった事業をイーロンが先んじて成し遂げた瞬間でもあった。

電気自動車

スペースX社創業から2年がたとうとしている頃に出会ったのが電気自動車だった。

ストローベルと出会い、エバーハードからテスラ・モーターズ社への出資を求められたのを機に、リチウム電池で動く自動車を作るビジネスに足を踏み入れる。

2004年、テスラ社への出資と同時に取締役会の会長となった。

戦略は独創的だった。一般向けの車ではなく、かっこいいスポーツカーから始めたのだった。そのためにイギリスのロータス社と共同開発契約を締結した。

イーロンの役割は全米の投資家から資金を集めること。

ロードスターにはリチウムイオンセルが6831個搭載されてる。これは一般的に入手できるノートPCなにに使われる充電池を集積させたものである。汎用バッテリーを使うという点が、他のメーカーと決定的に異なる。

この充電池で走るロードスターはポルシェ911カレラSよりスタートダッシュが圧倒的に早い。そして、1回の充電での走行距離は約400キロあり、これまでのEV界の常識を破った。

電気自動車の方が効率がいい

化石燃料を発電所で燃やして発電し、電気自動車に充電するとしても、電気自動車の方が効率がいい。

化石燃料を燃やして火力発電をした場合、効率は約60%。送電ロスが5~10%程度。電気からモーターを動かす効率は約95%。

対して、ガソリン自動車の効率は25~30%程度しかない。市街地などの場合効率は15%程度まで下がる。ガソリン車は8割程度を熱損失として外部に捨てている乗り物である。

結果として送電ロス等を考えても、電気自動車の方が約2倍効率よく使える。

太陽光発電

電気自動車を普及させるために必要なのが、充電ステーション。

2013年、電気自動車用の高速充電ステーション「スーパーチャージャー・ステーション」を全米に展開する計画を発表。

2014年までに北米の人口の80%の都市をカバーするという。2015年には98%に上げよういう目標がある。

この充電ステーションが、単なる充電でなく太陽光発電で収益があげられるものになったら。

そして、充電自体が無料でできるとしたら、どうだろうか?

電気自動車に対する固定観念が大きく覆る。

太陽光発電で電気を充電ステーションに供給する場合、太陽光発電パネルの設置に携わるのがソーラーシティ社である。

シェール革命が進み、ガソリン相当の燃料価格が下がったとしても、化石資源をもやし、二酸化炭素を排出し続ける原理にかわりはない。

目次

はじめに

1章 降臨―南アフリカから来た男
  暗闇が怖かった少年
  スタンフォードを2日で辞める
  現代版わらしべ長者
  チェルノブイリ原発事故を逃れた家族
  イーロン  マスク追放される
  ペイパルの「関ヶ原の戦い」
  NASAがやらなきゃ、オレがやる
  原理に立ち返る
  電気自動車に取りつかれた男たち
  投資家の剛腕
  二つのクラッシュの違い

2章 難航―人生最悪の時
  日本人が知らない南アフリカ
  ファルコン1を打ち上げろ
  いきなりの失敗
  宇宙は遠い
  ついにファルコン1が飛んだ
  高まるテスラ社への期待
  ロードスター開発現場の混乱
  失敗しても、前を向け
  イーロンの度量と先見
  誰かテスラのCEOをやってくれ
  テスラ倒産!?
  二度あることは三度ある
  妻との出会い、そして
  仕事か、家庭か
  銀行にキャッシュがない
  絶対に諦めない男

3章 前進―未来を見る
  ロードスターの衝撃
  ポルシェより速い
  日本のお家芸「電池」
  効率はガソリン車の2倍
  破格量のバッテリー搭載
  ジェットコースターのような乗り心地
  鳥のさえずりが聞こえる
  暗黒の2008年を越えて
  バッテリー切れの高級車
  未来を手にする方法

4章 信念―宇宙へ道
  インターネットの外へ
  ベンチャー企業がロケットを打ち上げる
  竜に乗って夢を追え
  米ソ冷戦とロケット紛争
  ケネディからブッシュへ
  理系の頭と文系の交渉力
  NASAのデッカイ金庫
  コスト意識がない業界
  官僚的な巨大宇宙企業たち
  インターネットから飛び出そう

5章 独創―PCの電池で車を走らせる
  モデルSの誕生
  空気抵抗を減らせ
  騒音にも種類がある
  ジョブズも欲しかった車
  トヨタと提携
  カネは上手に使う
  未来のアメリカの工場
  赤字でも株式上場

6章 異端―ロケット作りの革命
  世界初、国際宇宙ステーションとドッキング
  毎月、ロケットを打ち上げる
  特許は出さない
  設計はシンプルに
  フラットな組織で
  廊下で”フラッシュモブ”
  理想と現実の隙間を生める
  コストダウンに”革命的”はない
  頭の固いベンダー
  アマゾン創業者が目指した宇宙
  再利用できるロケットを作る
  高い目標を持ち続ける

7章 野望―人類を火星に送り込む
  ファルコン  ヘビーで火星へ
  中国の病巣と限界
  NASAからのお墨付き
  ヘンリー  フォードとの共通点
  普通の人が乗る宇宙ロケット
  強敵との攻防
  宇宙でキャッシュは使えない
  価値あるお金の使い方
  高速充電ステーション
  成功のレシピ
  充電時間をもっと短く
  GMの栄光と衰退
  21世紀のガソリンスタンド
  カリフォルニアに恋をして
  住宅の屋根を発電所に

8章 運命―地球を救え
  黒字になってこそできること
  国からの借金はとっとと返す
  売れる性能、売れるデザイン
  ニューヨーク  タイムズの批判記事
  事実と違う!
  変化を望まない人々
  正念場はこれからだ
  シェール革命
  地球を救う戦い

おわりに
イーロン  マスク年表

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