古典
本書はナショナリズム研究の古典ともいうべき本です。
ナショナリズム研究というと、いわゆる右翼的思想の研究かと思われるかもしれませんが、ここでいうナショナリズム研究とは、いかにして「国民」の概念が成立してきたかという研究です。
このナショナリズムをある程度理解しておくことで「グローバル」の概念を理解するのに役に立つだろうと思います。
今、巷で言われる「グローバル化」は「国際化」と同義語で扱われていることが多いように思います。
ですが、両者は全くの別物です。
それを理解しておかないと、これからの時代、さまざまな側面で読み違えることになるかもしれません。
なお、本書の要約は難しいので、大雑把に、それこそキーワード的にメモを記しています。
想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行
国民はイメージとして心の中に想像されたものである
というのも、いかに小さな国民であろうと、その大多数の同胞を知ることも、会うこともない
それでいて、ひとりひとりには共同の聖餐(コミュニオン)のイメージができている
ゲルナーは「ナショナリズムは国民の自意識の覚醒ではない。ナショナリズムは、もともと存在していないところに国民を発明することだ」といった。
国民は主権的なものとして想像される
なぜなら、国民の概念は、啓蒙主義と革命が神授のヒエラルキー的王朝秩序の正当性を破壊した時代に生まれたからである。
そして、国民は一つの共同体として想像される
なぜなら、国民の中にたとえ現実には不平等と搾取があるにせよ、国民は常に水平的な深い同志愛として心に描かれるからである
ナショナリズムの起源と発展
特定の聖典語だけが、支配していた時代、そして、王権が強かった時代
コミュニケーションの発展の中で、その絶対性が失われていく
それは出版資本主義の出現による
これにより、多くの人が新しいやり方で、自ら考え、自己と他人を関係づけることを可能にした
つまり、出版物の発展が、「水平・世俗的、時間・横断的」共同体を可能にする出発点となる
ヨーロッパにおいてラテン語から「国民的出版語」に移行するにつれ、共同体の形成が加速していく
つぎには、公定言語として特定の俗語が採用されることにより、同朋意識がさらに芽生えるようになる。
だが、その一方で、公定言語に採用されなかった言語を日常言語として使用する人々は、別の同胞意識が芽生えることになる。
目次
1 序
2 文化的根源
3 国民意識の起源
4 クレオールの先駆者たち
5 古い言語、新しいモデル
6 公定ナショナリズムと帝国主義
7 最後の波
8 愛国心と人種主義
9 歴史の天使
10 人口調査、地図、博物館
11 記憶と忘却