本書は投資や資産形成に対する心構えを説いている本です。
そのため、具体的な投資先や方法論などは書かれていません。
筆者も次のように述べています。
私はあなたに具体的なアドバイスをするつもりはない。
普遍的な真理を教えたいのだ
サイコロジー・オブ・マネー p294
具体的な資産形成のためのテクニックを知りたい方は、本書を読む意味がありません。別の本を読むのがおススメです。
しかし、資産形成に対する心構えという大変重要なことが書かれていますので、読んで損はありません。
本書の根本的な主張は、「お金とうまくつき合うには、頭の良さより、行動が大切だ」
というものだ。
サイコロジー・オブ・マネー p4
本書には肝に命じなければならないことが数多く書かれています。
エッセンスは下記のとおりですが、これだけではわかりませんので、各章を一読して確認されるのが良いと思います。
- 物事がうまくいっているときには慎重に、うまくいかないときには寛容に
- エゴを減らせば、豊かになれる
- 「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべし
- 投資で結果を出すための最大の秘訣は、時間軸を長くすること
- うまくいかないことがあっても問題ないと考える。半分は間違っていても、資産は増やせる
- 自分の時間をコントロールするためにお金を貯め、使う
- 他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう
- 貯金をする。ただ貯金する。貯めるのに特別な理由は必要ない
- 成功のために必要な代償を見極め、それを支払う準備をする
- 「誤りの余地」を何よりも大切にする
- 極端な経済的判断は避ける
- リスクを好きになること。リスクは、時間の経過とともに利益を生む
- 自分がしているゲームを明確にする
- 多様な意見を認める
本書はファイナンスに関する本でもありますが、本書で書かれているように、ファイナンスというのは歴史の浅い分野です。
ファイナンスとどのように付き合っていけばよいのか、まだまだ途上段階と言えるのではないかと思いました。
なぜファイナンスの世界では、清掃員のリードがトップエリートのフスコーンに負けない成果を出し得るのか?
それは2つの理由から説明できる。
1つは、経済的な成果は、知性や努力とは無関係の「運」に左右される部分が大きいからだ。これはファイナンスの世界の真実であり、本書でも以降の章で詳しく説明する。
もう1つの理由は(私はこちらのほうがより一般的だと考えている)、経済的な成功は「ハードサイエンス(物理学や数学などの分野)」では得られない、というものだ。
経済的な成功は、何を知っているかよりも、どう振る舞うかが重要な「ソフトスキル」の問題なのだ。私はこのソフトスキルを「サイコロジー・オブ・マネー(お金の心理学)」と呼んでいる。化学や物理学のようなものではなく、複雑で測定が難しい人間の心理や行動が大きく関わっているからだ。
サイコロジー・オブ・マネー p9
さて、詳細を次のページでかいつまんで見ていきましょう。