目次
はじめに
第1章 やる気にはメカニズムがある
やる気になるシチュエーションとは
50%の冒険をする
50%の経験は、睡眠中につくられる
基本の2つの仕組み
睡眠を司る3つのリズム
3つのリズムからの大原則
今日の行動は、明日のリズムのため
第2章 やる気の警告サインをキャッチする
脳の警告サインを知る
タンスのカドに足の指をぶつけたら
アメを最後までなめずに噛んだら
机の上が片付かなかったら
夜中のお菓子を我慢できなかったら
人の言い方が気になったら
「あれ?何しに来たんだっけ?」と言ったら
リズムをつくれば警告サインはなくなる
コラム 引き出しから頭痛薬が消えた!
第3章 朝5分―光の法則
オフィスワーカーが陥る錯覚とは
メラトニンが1日24時間をつくる
理想的な柔軟な組織
晴れの日も雨の日も、起床後4時間以内に外を見る
メラトニンの製造過程から理想の一日が分かる
今日の頑張りが翌朝を変える
朝の缶コーヒーはいらなくなる?!
パートナーや家族も変わる
朝と夜を自分でつくる
コラム 眠りが変わったら、仕事を溜めなくなった
第4章 昼5分―負債の法則
午後の会議を乗り切るために
睡眠と覚醒の関係
知らずに溜まる睡眠負債
起床から6時間後に、5分間、目を閉じる
眠くなる前に目を閉じる
脳内の目覚まし時計を使いこなす
動物の実践を参考にする
睡眠と覚醒を自分でつくる
コラム ちゃんと寝ているのに、なぜかやる気が出ないケース
第5章 夕方5分―体温の法則
帰りの電車で眠っていませんか?
深部体温リズムを知る
効果的に体温を上げる
起床から11時間後に5分間、姿勢を良くする
残業に日は入床前でカバーする
成長ホルモンを増やす
脳の神経も回復する
コラム 本当にかっこいい女性を目指すには
第6章 眠りの悩みを解決する
右脳左脳の違いより前後が大切
脳の競合の原理を知る
脳を眠らせるための映像
脳は、眠る前に特に敏感になる
脳の温度を下げる
アクティビティバランスでやるきをつくる
コラム 徹夜が必要な人のために
おわりに
睡眠についての本
最初に結論
- 晴れの日も雨の日も、起床後4時間以内に外を見る
- 起床から6時間後に、5分間、目を閉じる
- 起床から11時間後に5分間、姿勢を良くする
著者は作業療法士(略称でOTと呼ばれる、Occupational Therapist)
脳のメカニズムから導き出される睡眠の法則
脳が最もやる気が出るのは、一部分をすでに知っていることに取り組む時である。
「他者がいれば解決できる課題領域 ― 1人で解決できる課題領域 = 発達の最近接領域」
それぞれ、「他者がいれば解決できる課題領域=50%」、「一人で解決できる課題領域=50%」が理想的で、最も成長しやすいシチュエーションである。
このかぎを握るのは、記憶の仕組み
記憶は、すぐに忘れてしまう海馬から、なかなか忘れない大脳へ、移す作業が必要である。
これが行われるのが睡眠中。
つまり、睡眠の質が悪いと、記憶の整理をするための活動が停止してしまう。
質の良い睡眠に重要なのは、夜ではなく、昼間の過ごし方である。
体の中にあるリズム
3つの生体リズム
- メラトニンリズム
- 睡眠―覚醒リズム
- 深部体温リズム
メラトニンリズム
メラトニンは、光を感知すると減少し、夜間に暗くなると、急速に増加する
睡眠を誘発する作用をもつが、不明な点も多い物質
睡眠―覚醒リズム
1日のうちで大脳を眠らせるシステムが強く働く時間帯は、起床から8時間ごと22時間後の2回ある
深部体温リズム
起床から11時間後に最も高くなり、22時間後に最も低くなる
3つのリズムをうまく作る
この3つのリズムを、上手く作っていくことが質の良い睡眠につながる。
本書は、その技術を書いている本である。
リズム
人の体内時計は24時間より長い
そのため、朝の光を感知しないと、数十分から1時間程度、後ろにずれていく
一方で、深部体温リズムはなかなかずれない強いリズム
3つのリズムが崩れると、深部体温リズムのこう配が低くなり、睡眠は浅く、昼間は覚醒が低くなる
3つのリズムからの大原則
「起床から4時間以内に光を見て、6時間後に目を閉じ、11時間後に姿勢を良くする」
これは、次のことを意味する。
- 光を見てメラトニンを減らし、脳を覚醒させる
- 目を閉じて脳の睡眠物質を減らす
- 姿勢を良くして体温を上げ、眠り始めの体温を下げる
生体リズムをマネジメントすることによって、質の良い睡眠を得ることができるようになる。
朝5分―光の法則
光の強さは次のとおり
- 晴れた日:10,000ルクス以上
- 曇りの日: 5,000ルクス(窓際)
- オフィス: 500ルクス
500ルクスとは、真黒い雲が覆う大雨の日の窓際と同じくらいの光の強さ
つまり、生体リズムを整える点では、恐ろしく暗い、のがオフィスの照明設計である。
人の体内時計は24時間よりも長い
人の1日をブロックに様に考えるのが「位相」だが、メラトニンはこの位相を調整する
体内時計の最高司令部とも言うべき「マスタークロック」は光を浴びることによって、調整される。
マスタークロックは、暗くなるとメラトニンを分泌する
「暗くなる」基準は500ルクス
つまり、オフィスの環境下では、位相を調整するマスタークロックが混乱しやすい
そこで、仕事を始める前に、しっかりと、メラトニンを減らす必要がある。
マスタークロックが、位相を調整できる時間は、起床から4時間まで
朝5分光を浴びる
昼間にはセロトニンが増え、夜にはメラトニンが増える
すると、昼間は安定して仕事ができ、夜には自然と眠くなる。
位相がずれると、1時間の時差を修正するには、1日かかると考えれている
そのため、朝に日の光を浴びることが重要となるが、5分で良いのなら、多くの人は通勤・通学の時間でまかなえる
昼5分―負債の法則
睡眠―覚醒リズムでは1日2回、大脳を積極的に眠らせるシステムが働く
- 8時間後
- 22時間後
朝6時起床の場合、14時と朝4時
イタリアでの交通事故件数と発生時刻のグラフを見ると、14時と4時の事故件数が多い
眠気とは、覚醒し続けて疲弊した神経を修復し、さらに高いパフォーマンスを発揮させるための、脳による戦略的なシステムである
仮に、睡眠が始まる時間帯を過ぎて眠気をやり過ごしたとしても、睡眠物質の波がずれるが、深部体温リズムはそのままなので、リズムのずれが生じる
そして、睡眠負債が蓄積していく
睡眠物質が増えると、頭頂葉の活動が低下し、前頭葉の活動が高まる
- 頭頂葉=見たもの、聞いたこと、触った感じなど、事実に基づいた情報を処理する部位
- 前頭葉=過去の経験に基づいて考える部位
これが、経験則で判断してしまい、ヒューマンエラーが起こるメカニズムと考えられる
目を閉じるだけでアルファ波は出る
視覚を遮断することが大切なので、1分~5分でも、ちょっとしたすきに目を閉じてみる
睡眠―覚醒リズムでは起床から8時間後に1回目の眠気が来る
重要なのは、眠くなる前に目を閉じることである
動物をまねてみる
- 人は単層性睡眠=昼間起きて、夜眠る睡眠のリズム
- 動物は多層性睡眠
応急処置として、眠りが平均すると90分サイクルであることを利用する
つまり、約90分ごとに目を閉じて休息する
夕方5分―体温の法則
帰りの電車の中で寝てしまうと、電車で寝てしまうことで、眠りのリズムが後ろにずれて、疲れが取れない
深部体温リズムをつかい、夕方の眠りを減らし、夜の睡眠でしっかり疲れをとる
人は
深部体温が高くなればなるほど、からだが良く動くようになる
深部体温が下がるほど、眠くなる
そして、ずれにくいリズムであるが、いったんずれてしまうと、なかなか戻しにくいリズムである
起床から11時間後に筋肉を使えば、体温を有効に上げることができる
とはいえ、ジムとかには通えないし、職場でストレッチもむずかしいだろう
そこで、背中の筋肉を使えば、最も効果的に体温を上げられる
方法:5分ほど椅子に座ったまま背筋を伸ばしてみる
背筋を伸ばすポイント
「肩甲骨を下げ、肛門をしっかり締めること」
肩甲骨の位置
- 座った状態
- 両肩を耳につけるようにできるだけ高く上げる
- そのまま肩をできるだけ背中側に引きつける
- 目いっぱい引いたところで、ストント力を抜いて肩を下ろす
- 肩甲骨の正しい位置
肛門を占める
肛門が閉まると、下腹部に力が入り、座る姿勢が安定する
肩甲骨を肛門にグーッと引き下げる感じ
できなかった場合
- 眠る1時間ほど前にストレッチなど軽い運動をする
- 風呂に入る(熱い風呂なら2時間前、ぬるい風呂なら1時間前が目安)
- シャワーの場合、くるぶしから3cmくらい上の足首を温め、シャワー後は冷やさないようにする
成長ホルモンは眠り始めの3時間に分泌される
分泌ピークは入眠1時間後
運動によって眠り始めの深部体温を下げれば下げるほど、眠りは深くなり、成長ホルモンの分泌が増える
最近の研究
成長ホルモンを減らしてしまう行為
それは、夜中の食事
残業で遅くなる場合、残業する前に夕食をとることができれば、成長ホルモンの低下を防ぐことができる